こんにちは!ハーレーマニアのYUTAです。
ハーレーと聞くと、ゆったり流すクルーザーや、長距離を走る大きなツーリングモデルを思い浮かべる方が多いかもしれません。でも実は、ハーレーは100年以上にわたってレースを戦ってきたメーカーでもあります。
最近では、大きなツーリングモデルでサーキットを全開で走る「バガーレース」が話題になり、2026年にはMotoGPと組んだ新しいシリーズも始まりました。私は機械や電装の目線でハーレーを見てきましたが、レースの話を知ると、普段乗っている車体の作りや部品の意味まで違って見えてくるから面白いんですよね。この記事では、ハーレーのレースの歴史から、今のバガーレース、日本での楽しみ方まで、まとめて紹介します。
- ハーレーのレースの歴史とフラットトラックでの実績
- バガーレースとはどんなレースか
- MotoGPと組んだバガーワールドカップの概要
- 日本でハーレーのレースを楽しむ方法
ハーレーのレースの歴史を知る
まずは、ハーレーがどんなレースを戦ってきたのかを振り返ります。創業まもないころの挑戦から、ハーレーの代名詞とも言えるフラットトラック、そしてドラッグレースやロードレースへの挑戦まで、歴史の流れに沿って見ていきましょう。
レースの歴史は100年以上
ハーレーダビッドソンは1903年にアメリカのミルウォーキーで生まれたメーカーです。そして創業から10年ほどたった1910年代には、メーカーとして本格的にレースへ参加するようになりました。当時のファクトリーチームは、その強さから「レッキング・クルー(壊し屋)」というあだ名で呼ばれていたと言われています。
当時のレースは、今のように整ったサーキットではなく、土を固めたオーバルのコースや、板を張った競技場などで行われていました。速さだけでなく、壊れずに走り切る丈夫さが勝敗を分けた時代です。ここで鍛えられた技術が、市販車の信頼性にもつながっていきました。

レースに勝つことは、そのまま「速くて丈夫なバイク」という評判になり、販売にも大きな影響を与えました。ハーレーにとってレースは、昔から技術を磨く場であり、ブランドを育てる場でもあったのです。
今のハーレーからはなかなか想像しにくいかもしれませんが、ハーレーの歴史はレースとともに歩んできた歴史と言っても大げさではありません。そう思って車体を見ると、少し印象が変わりませんか。
フラットトラックとXR750
ハーレーのレースを語るうえで欠かせないのが、フラットトラックです。土のオーバルコースを、後輪を滑らせながら横向きに曲がっていく、アメリカで人気の高いレースですね。

このフラットトラックで伝説になったのが、XR750というレース車両です。ハーレーの公式の記録では、XR750は1970年に初勝利をあげ、2017年まで勝ち続けて通算501勝を記録しました。40回近いグランドナショナルチャンピオンの獲得にも貢献したとされています(出典:Harley-Davidson公式「Harley-Davidson Racing History: 700 Wins」)。
XR750の前には、KRというモデルが1954年から1969年にかけて129勝をあげています。こうしたモデルが積み重ねてきた勝利によって、ハーレーのフラットトラックでの最高峰クラスの勝利数は、700勝に届くほどになりました。
ひとつの車両が半世紀近くも勝ち続けたというのは、レースの世界ではかなり珍しいことです。XR750の細身の車体や、左右に張り出したマフラーの姿は、今でもトラッカースタイルのカスタムのお手本になっています。トラッカーのカスタムについては、ハーレーのトラッカーカスタムの解説も参考にしてみてください。
今も続くフラットトラックの挑戦
フラットトラックでのハーレーの挑戦は、XR750の引退で終わったわけではありません。その後を受け継いだのが、XG750Rというレース車両です。
公式の記録によると、XG750Rは2025年に初めての勝利をあげ、そこから勝利を重ねています。長い時間をかけて車両を育て、ようやく結果が出始めたところに、ハーレーらしい粘り強さを感じます。
フラットトラックは、エンジンのパワーをただ大きくすればいいレースではありません。滑りやすい土の上で、どれだけ後輪に力をうまく伝えられるかが勝負です。そのため、エンジンの力の出方や、車体のバランスといった、基本の作りがとても大切になります。
アメリカでは、今もフラットトラックは多くのファンを集める人気のレースです。ハーレーにとっては、伝統を守りながら新しい技術を試す、大切な舞台であり続けているのでしょう。
ドラッグレースやロードレースへの挑戦
ハーレーが戦ってきたのは、フラットトラックだけではありません。直線の速さを競うドラッグレースでも、ハーレーのチームは長く活躍してきました。わずか数秒で勝負が決まるドラッグレースは、エンジンの力をどれだけ一気に引き出せるかの勝負です。
舗装されたサーキットを走るロードレースにも、ハーレーは挑戦してきました。1990年代には、スーパーバイクのレースに向けた水冷エンジンのレース車両を開発し、アメリカのレースに参戦しています。結果だけを見れば苦しい戦いでしたが、ここで得た水冷エンジンの経験は、のちの市販車の開発にも生かされたと言われています。
こうして見ると、ハーレーは土の上、直線、サーキットと、さまざまな舞台でレースを続けてきたことが分かります。クルーザーのイメージが強いハーレーですが、走りへのこだわりは、昔から筋金入りなのです。
そして今、そのレースの舞台に、ハーレーの看板モデルである大きなツーリングモデルが立つようになりました。それが次に紹介するバガーレースです。
ハーレーのレースの今とバガーレース
ここからは、今のハーレーのレースの主役とも言えるバガーレースについて解説します。バガーレースの特徴、MotoGPと組んだ新しいシリーズ、レース車両と市販車の違い、そして日本でハーレーのレースを楽しむ方法まで、順番に見ていきましょう。
バガーレースとはどんなレース
バガーとは、車体の後ろに左右のサイドバッグを付け、前にカウルを備えた大きなツーリングモデルのことです。本来は荷物を積んで長い距離を快適に走るためのバイクですね。そのバガーで、サーキットを全開で走って競うのがバガーレースです。
重くて大きなツーリングモデルが、車体を深く傾けてコーナーを曲がっていく姿は、ほかのレースにはない迫力があります。「こんなに大きなバイクが、こんなに速く走れるのか」と驚く人も多いでしょう。

アメリカでは、「キング・オブ・ザ・バガーズ」というバガーレースの選手権が開かれていて、ハーレーのファクトリーチームが参戦しています。公式の記録では、2025年にはハーレーのライダー、カイル・ワイマン選手がチャンピオンになり、メーカーとしてのタイトルも獲得しました。
バガーレースの人気は、ハーレーのツーリングモデルの見方を変えつつあります。ゆったり走るためのバイクが、実は速く走れるだけの力を持っている。そんな意外性が、多くのファンを引きつけている理由かもしれません。
MotoGPと組んだバガーワールドカップ
2026年、バガーレースは新しい段階に入りました。ハーレーとMotoGPが手を組み、「ハーレーダビッドソン・バガーワールドカップ」というシリーズを始めたのです。MotoGPは世界最高峰のバイクのロードレースで、その大会と同じ週末にバガーのレースが行われる形になりました。
ハーレーの公式の発表によると、2026年のシリーズは北米とヨーロッパの6つの大会で行われ、ポイントを争うレースは全部で12回です。開催地は、アメリカのオースティン、イタリアのムジェロ、オランダのアッセン、イギリスのシルバーストーン、スペインのアラゴン、そしてオーストリアで、最終戦のオーストリアでチャンピオンが決まる日程でした(出典:ハーレーダビッドソン ジャパン「2026年ハーレーダビッドソンバガーGPシリーズ発表」)。
使われる車両は、ハーレーのファクトリーレーシングが仕上げたロードグライドです。全員が同じ仕様の車両で戦うので、勝負を分けるのはライダーの腕と、チームの仕上げ方になります。
世界中のバイクファンが見るMotoGPの舞台に、ハーレーの大きなツーリングモデルが立つ。少し前までは考えられなかった光景で、ハーレーのファンとしては胸が熱くなる出来事ではないでしょうか。
レース車両と市販車の違い
バガーワールドカップのロードグライドは、見た目こそ市販のロードグライドに近いものの、中身は別物と言ってよいほど手が入っています。公式の発表では、最高出力は200馬力以上、重さは617ポンド(約280kg)とされています。
市販のツーリングモデルは、荷物を積み、二人で乗り、長い距離を快適に走るために作られています。一方、レース車両はサーキットで速く走ることだけを考えて作られています。エンジンの力を引き出すための部品はもちろん、深く車体を傾けても路面に擦らないように、足まわりも大きく作り変えられているのです。
そのため、「バガーレースで速いから、市販のロードグライドもそのまま速く走れる」と考えるのは少し早とちりです。レースはあくまで、ハーレーの技術を極限まで突き詰めた姿だと考えておくとよいでしょう。
とはいえ、レースの影響を受けた市販の部品やカスタムも増えています。走りを楽しむためにツーリングモデルを仕上げる「パフォーマンスバガー」と呼ばれるカスタムもそのひとつです。カスタムの流行については、ハーレーのカスタムの流行とスタイルで紹介しています。
◆YUTAのワンポイントアドバイス
レースの写真を見ると、車体を深く倒したときに当たりそうな部分が、うまく逃がしてあるのが分かります。市販車でカーブを曲がるときにステップが擦るのは、車体を倒せる角度に限りがあるからなんですよね。レース車両がどこを作り変えているかを知ると、自分のハーレーの得意なことと苦手なことが見えてきて、安全に走るヒントにもなりますよ。
日本でハーレーのレースを楽しむ
日本でハーレーのレースを楽しみたい、と思う方も多いでしょう。ただ、ハーレーの公式の発表では、2026年のバガーワールドカップの日程に日本の大会は含まれていませんでした。今のところ、世界のバガーレースは、主に配信や映像で楽しむことになります。
MotoGPの公式サイトでは、バガーワールドカップの情報も紹介されています。レースの結果やハイライトの映像をチェックすれば、日本にいながらでも十分に迫力を味わえるはずです。大きなツーリングモデルが連なってコーナーに飛び込む映像は、一度見るとくせになるかもしれません。

自分でサーキットを走ってみたい方は、サーキットの走行会という選択肢もあります。走行会は順位を争うレースではなく、決められた時間の中で、サーキットを自分のペースで走るイベントです。参加の条件や、必要な装備は走行会ごとに決められているので、申し込む前によく確かめておきましょう。
サーキットを走るなら、車両の点検はいつも以上に大切です。ブレーキやタイヤの状態、オイルの漏れがないかなど、走る前にしっかり確かめておくことが、自分の身を守ることにつながります。
レースに憧れて乗り換えるなら
バガーレースを見て、「自分もロードグライドのような大きなツーリングモデルに乗ってみたい」と感じた方もいるかもしれません。レースをきっかけに、乗り換えを考えるのも、バイクの楽しみ方のひとつです。
ただ、ツーリングモデルは車体が大きく、重さもあります。サーキットでの姿に憧れて買ったものの、普段の取り回しや駐車場での押し歩きが大変で、思っていた使い方と違った、ということもあります。乗り換えの前に、販売店で実際にまたがり、取り回しまで確かめておくと安心です。

乗り換えの資金を考えるときは、今乗っているバイクがいくらで売れるかを知っておくと、計画が立てやすくなります。ハーレーの買取に慣れたバイク買取業者に査定を頼めば、今の車両の価値を知るよい目安になるでしょう。
カスタムをしている車両なら、複数の買取業者にまとめて査定を依頼して、評価の違いを比べてみるのもおすすめです。レースの熱気をきっかけに、次の一台との出会いを楽しんでくださいね。
ハーレーのレースのよくある質問(FAQ)
Q1. ハーレーはレースに参戦したことがありますか?
A. はい、ハーレーは1910年代からレースに参加してきた長い歴史を持つメーカーです。特にフラットトラックでは、XR750が1970年から2017年までに501勝をあげるなど、大きな実績を残してきました。現在は、大きなツーリングモデルで戦うバガーレースにも力を入れています。
Q2. バガーレースとはどんなレースですか?
A. サイドバッグとカウルを備えた大きなツーリングモデル、いわゆるバガーでサーキットを走って競うレースです。アメリカの「キング・オブ・ザ・バガーズ」に加えて、2026年からはMotoGPと組んだ「ハーレーダビッドソン・バガーワールドカップ」も始まりました。
Q3. バガーワールドカップの車両は何ですか?
A. ハーレーのファクトリーレーシングが仕上げたロードグライドが使われています。公式の発表では最高出力は200馬力以上、重さは617ポンド(約280kg)で、全員が同じ仕様の車両で戦います。市販のロードグライドとは、中身が大きく作り変えられています。
Q4. 日本でバガーレースは開催されていますか?
A. ハーレーの公式の発表では、2026年のバガーワールドカップの日程は北米とヨーロッパの6大会で、日本の大会は含まれていませんでした。日本からは、MotoGPの公式サイトなどでレースの情報や映像を楽しむのが現実的です。
ハーレーのレースを楽しむためのまとめ
ハーレーのレースは、長い歴史と今の熱気の両方を楽しめる世界です。最後に、この記事のポイントを振り返っておきましょう。
- ハーレーは1910年代から100年以上レースを戦ってきた
- フラットトラックではXR750が501勝をあげた
- 今もXG750Rでフラットトラックの挑戦が続いている
- バガーレースは大きなツーリングモデルでサーキットを走るレース
- 2026年からMotoGPと組んだバガーワールドカップが始まった
- 日本からは配信で観戦し、走行会で自分も走る楽しみ方がある
レースの歴史を知ると、普段何気なく乗っているハーレーにも、勝つために磨かれてきた技術が詰まっていることに気づかされます。あなたは、どの時代のハーレーのレースにいちばん心が動きましたか。次にエンジンをかけるときは、そんな歴史にも少し思いをはせてみてくださいね。

