こんにちは!ハーレーマニアのYUTAです。
スポーツスターSは、液冷のエンジンと太い前輪を持つ、いまのハーレーの中でもかなり個性の強い一台です。そのままでも十分に迫力がありますが、乗っているうちに「足の位置をもう少し手前にしたい」「マフラーの音を変えたい」と思う方は多いのではないでしょうか。
ただ、スポーツスターSは昔の空冷スポーツスターとはつくりがまったく違います。昔の感覚でパーツを選ぶと、付かない、車検に通らない、思ったほど似合わない、ということも起こりがち。この記事では、スポーツスターSのカスタムで定番になっている場所と、始める前に知っておきたい注意点を、機械いじりが好きなオーナーの目線でお話しします。
- スポーツスターSで定番のカスタムの場所
- ステップやマフラーを変えるときの考え方
- 車検と騒音の決まりで気をつける点
- 費用の目安とカスタムを進める順番
ハーレーのスポーツスターSのカスタム定番
まずは、スポーツスターSのカスタムでよく手が入る場所を見ていきます。車両の特徴をおさえたうえで、ステップ、マフラー、シートとハンドル、ホイールと足まわり、外装と灯火類の順に、それぞれの変化と選び方を紹介します。
スポーツスターSはどんなバイクか
カスタムの話の前に、スポーツスターSがどんなバイクなのかを確かめておきましょう。スポーツスターSは、2021年に登場した新しい世代のスポーツスターです。エンジンは液冷のRevolution Max 1250Tで、排気量は1,252cc。メーカーが公表している2026年モデルの数値では、最高出力121馬力、最大トルク125Nm、シート高765mm、車両重量228kgとなっています。
見た目で目を引くのは、前後とも太いタイヤです。前輪は160/70R17、後輪は180/70R16と、前輪にもかなり幅のあるタイヤを履いています。デザインは、空冷時代の人気モデルだったフォーティーエイトを思わせるもの。燃料容量は11.7リットルと小さめで、タンクをすっきり見せた低く構えたスタイルです。
そして大事なのが、空冷のスポーツスターとはエンジンも車体もまったくの別物だという点。フレームの形もエンジンの載せ方も違うため、昔のスポーツスター用のパーツは基本的に使えません。カスタムパーツを探すときは、必ず「RH1250S」や「スポーツスターS用」と書かれたものを選んでください。
なお、2026年モデルではマフラーが2-1-2のハイマウントになるなど、年式によって細かい違いもあります。パーツを選ぶときは、車種名だけでなく年式の適合まで見ておくのが安心です。
ミッドコントロールで姿勢を変える
スポーツスターSのカスタムで、最初に名前が挙がりやすいのがステップの位置です。初期の年式は、足を前に投げ出すように置くフォワードコントロールが標準でした。見た目は低くて格好いいのですが、背の高さや脚の長さによっては、ひざが伸び切ったり、お尻に体重がかかりすぎたりします。
そこで人気なのが、ステップを体の真下に近い位置へ移すミッドコントロール化です。足を下ろした位置で踏ん張れるようになるため、カーブで車体を倒しやすくなり、段差を越えるときにも腰を浮かせやすくなります。スポーツスターSの力強いエンジンを、より積極的に走らせたい方には向いているカスタムです。

ミッドコントロールのキットは、純正と社外の両方から出ています。純正品は車両との相性を確かめやすく、社外品は見た目や位置を選べるのが魅力。いずれにしても、ブレーキやシフトの操作にかかわる部品なので、取り付けは整備に慣れたお店に任せたほうが安心でしょう。
費用は、部品代に加えて工賃がかかります。ミッドコントロール化の費用の考え方は、ハーレーのミッドコントロール化費用と工賃の目安でくわしく紹介しているので、見積もりを取る前に目を通しておくと話が早いですよ。
マフラー交換と音の変化
マフラーの交換も、スポーツスターSで人気のカスタムです。純正のマフラーは高い位置に上がったデザインで、見た目のまとまりはとてもいいのですが、音は今の騒音の決まりに合わせた落ち着いたものになっています。「もう少し鼓動を感じたい」と思う方が多いのも、うなずけるところでしょう。
社外のマフラーには、純正と同じく高い位置に出すタイプのほか、低い位置を通すタイプ、2本出しにするタイプなどがあります。形を変えると、車体の印象はかなり変わります。また、音や排気の流れが変わることで、走ったときの力の出方が変わることも。

ここで注意したいのは、スポーツスターSはエンジンをコンピューターで細かく制御しているという点です。マフラーの種類によっては、燃料の量を合わせ直す調整が必要になることがあります。マフラーを選ぶときは、調整が必要かどうか、必要ならどこで頼めるかまで、購入前に確かめておきましょう。
もうひとつ見落としやすいのが熱です。純正のマフラーは右足の近くを通るので、夏場や渋滞では熱さを感じやすいという声もあります。マフラーを変えるときは、遮熱板の形や、足との距離も見ておくと、乗り心地の面でも後悔が少なくなりますよ。
シートとハンドルで乗り心地を変える
シートとハンドルは、見た目だけでなく乗り心地を大きく変えるカスタムです。純正のシートは薄めのソロシートで、低いスタイルにはよく合いますが、長い時間走るとお尻が痛くなるという方もいます。
社外のシートには、クッションを厚くしたもの、腰を支える段差をつけたもの、二人乗りができるタンデムシートなどがあります。ツーリングによく出かけるなら、座る面が広く、腰の位置が決まりやすいシートを選ぶと楽になるかもしれません。一方で、厚いシートにすると足つきが変わるので、またがって確かめてから選ぶのがおすすめです。

ハンドルは、手の位置を変えることで上半身の姿勢を決める部品です。純正のハンドルは低めで、少し前かがみの姿勢になります。ライザーと呼ばれる台座で高さを上げたり、幅や形の違うハンドルに替えたりすることで、ぐっと楽な姿勢にすることも、より攻めた姿勢にすることもできます。
ただし、ハンドルを高くしたり幅を広げたりすると、ブレーキのホースや配線の長さが足りなくなることがあります。また、ハンドルの寸法が大きく変わると、車検の手続きにかかわることも。ハンドルを替えるときは、ホースや配線まで含めた部品の一式で考えておくと安心です。
ホイールと足まわりのカスタム
ホイールの交換は、スポーツスターSの印象をがらりと変えるカスタムです。純正のホイールはスポークの細い鋳造ホイールですが、デザインの違うものや色の違うものに替えるだけで、車体の雰囲気はまったく別のものになります。
とはいえ、ホイールは走りの安全に直結する部品です。サイズや幅を変えると、タイヤの選び方やブレーキとの相性、メーターの速度表示などにも影響が出ます。ホイールを替えるときは、純正と同じサイズのタイヤが履けるかどうかを最初に確かめておきましょう。太いタイヤのカスタム全般については、ハーレーのタイヤが太い車種と純正サイズの注意点でも紹介しています。
足まわりでは、前後のサスペンションに手を入れる方もいます。スポーツスターSは、前後とも調整できるサスペンションを備えていますが、乗る人の体重や二人乗りの有無によっては、より好みに合った社外品へ替えたいと感じることも。まずは純正の調整機構で、硬さや沈み込みを合わせてみるのが近道です。
サスペンションの交換で車高を下げる、いわゆるローダウンも人気があります。ただ、もともと地上からの高さが低いバイクなので、下げすぎるとカーブで車体の底を擦りやすくなります。見た目と走りやすさのバランスを考えて決めたいところですね。
外装と灯火類で印象を変える
大がかりな作業をしなくても、外装や灯火類の交換で印象はかなり変わります。たとえば、後ろのナンバーまわりをすっきりさせるフェンダーレス化、ウインカーを小さなものへ替えるカスタム、ヘッドライトの上に小さなカウルを付けるカスタムなどが定番です。
スポーツスターSは、もともと車体のまわりがすっきりしたデザインなので、小さな部品の違いが目立ちやすいバイクです。ウインカーやミラーを替えるだけでも、雰囲気はぐっと引き締まります。色を黒でそろえるのか、銀色の部品を足すのか、方向性を決めてから選ぶと、まとまりのある仕上がりになるでしょう。

ただ、ウインカーやナンバーの位置には決まりがあり、角度や見える範囲、明るさなどが基準に合っていないと車検に通りません。小さな部品だからと油断せず、車検に対応しているかどうかを確かめてから選んでください。
◆YUTAのワンポイントアドバイス
スポーツスターSは電子制御の部品が多く、灯火類を替えただけで警告灯がついたり、ウインカーの点滅が速くなったりすることがあります。電気の部品を替えるときは、そのまま付くのか、別の部品や設定が必要なのかを、先に確かめておくと安心ですよ。
ハーレーのスポーツスターSカスタムの注意点
ここからは、スポーツスターSのカスタムで気をつけたい点を見ていきます。後悔やダサいと言われる理由、車検と騒音の決まり、費用と進める順番、フルカスタムの中古車を選ぶときのポイント、そして手放すときに備えた準備まで、順番にお話しします。
後悔やダサいと言われる理由
スポーツスターSについて調べると、「後悔」や「ダサい」という言葉を目にすることがあります。せっかく気に入って選んだのに、そんな言葉を見ると不安になりますよね。
後悔の声として多いのは、燃料タンクが小さくてガソリンスタンドに寄る回数が多いこと、マフラーが右足の近くを通るので熱いこと、フォワードコントロールの姿勢が体に合わないこと、などです。どれも、乗り方や体格によって感じ方が大きく変わる点で、ミッドコントロール化や遮熱の工夫で和らげられるものもあります。
「ダサい」という声は、主に見た目の好みの問題です。昔ながらの空冷ハーレーの姿が好きな方からすると、液冷のエンジンや太い前輪は、どうしても見慣れない形に映るのでしょう。逆に言えば、そこがスポーツスターSならではの個性でもあります。
カスタムで後悔しないためには、人の評価よりも、自分がどう乗りたいのかを先に決めることです。街を流すのが中心なのか、ツーリングが中心なのか、峠を楽しみたいのか。目的がはっきりすると、手を入れるべき場所も自然と見えてきますよ。
車検と騒音規制の確認
スポーツスターSのカスタムで、いちばん気をつけたいのが車検です。スポーツスターSは新しい年式の車両なので、騒音や排出ガスについて、今の厳しい基準がそのまま当てはまります。
特に注意したいのがマフラーです。新しい年式のバイクで社外のマフラーを使う場合は、基準に合っていることを示す性能等確認済表示が付いた製品を選ぶのが基本になります。この表示の仕組みや、交換用マフラーを付けた二輪車の騒音の決まりについては、国の資料でも説明されています(出典:国土交通省『交換用マフラーを備えた二輪自動車等の騒音規制の取扱いを見直します』)。
「車検対応」とうたっている製品でも、対応している年式や車種が限られていることがあります。自分の車両の年式と型式に合っているか、表示がきちんと付いているかを、買う前に確かめましょう。マフラーと車検の関係は、ハーレーのマフラー車検対応ガイドでくわしく紹介しています。
マフラーのほかにも、ハンドルの寸法、ウインカーやナンバーの位置、ミラーの形など、車検で見られる場所はたくさんあります。カスタムを頼むお店には、「車検に通る形で仕上げてほしい」と最初に伝えておくのがいちばんの近道です。
費用の目安と進める順番
スポーツスターSのカスタム費用は、どこに手を入れるかで大きく変わります。ウインカーやミラーの交換なら比較的少ない予算で始められますが、マフラーの交換と燃料の調整、ホイールの交換などを重ねていくと、合計はあっという間にふくらみます。金額はお店や部品によって差が大きいので、あくまで一般的な目安として考えてください。
見積もりを取るときは、部品代だけでなく工賃と、調整や追加の部品にかかる費用まで含めて比べることが大切です。部品が安くても、取り付けに手間がかかれば総額は高くなります。逆に、純正の部品は値段が高めでも、取り付けが簡単で追加の部品がいらないこともあります。
カスタムを進める順番としておすすめなのは、まず体に合わせる部分から手を入れることです。ステップの位置、ハンドル、シートといった、乗る姿勢にかかわる部分を先に決めると、そのあとの見た目のカスタムも方向性を決めやすくなります。
そのうえで、マフラーや灯火類、ホイールといった見た目の部品へと進めていく。この順番なら、「見た目は気に入っているのに、乗るとつらい」という状態を避けやすくなりますよ。
フルカスタム中古車を選ぶとき
新車から少しずつ手を入れるのではなく、すでにカスタムされたスポーツスターSを中古で買うという方法もあります。高価なパーツが付いた車両が、パーツの値段を考えると割安に見えることもあり、魅力的に感じる方もいるでしょう。
ただし、カスタムされた中古車は、見えない部分の確認が欠かせません。マフラーには性能等確認済表示が付いているか、燃料の調整はどこでどのように行ったのか、外した純正部品は残っているか。こうした点を、販売店にひとつずつ確かめておきたいところです。
電気の部品が多いスポーツスターSでは、配線の取り回しも大事なポイントです。後から付けた部品の配線が雑に処理されていると、あとで不具合の原因になることがあります。可能であれば、カスタムの作業記録や、取り付けたお店の名前も聞いておくと安心です。

見た目が好みでも、車検に通らない状態だったり、純正部品が残っていなかったりすると、あとから余計な出費がかかります。車両の価格だけでなく、元に戻すための費用まで含めて考えて選びましょう。
売却を見据えて純正部品を残す
カスタムを楽しむうえで、意外と大切なのが手放すときの準備です。いつかは乗り換えたくなる日が来るかもしれません。そのとき、カスタムの内容によっては、評価が上がることもあれば、下がることもあります。
一般的に、車検に対応した人気のパーツや、純正のカスタムパーツは、評価されやすい傾向があります。一方で、好みが大きく分かれるカスタムや、車検に通らない状態のカスタムは、評価が低くなりがち。だからこそ、外した純正部品は捨てずに保管しておくことが大切です。純正に戻せる状態なら、次の買い手の幅も広がります。
売るときには、カスタム車の買取に慣れた業者を選ぶのもポイントです。取り付けたパーツの価値をきちんと見てもらえるかどうかで、査定額に差が出ることがあります。複数の買取業者に査定を依頼して、カスタムの内容をどう評価してくれるかを比べてみるといいでしょう。カスタム車の査定の考え方は、ハーレーのカスタム買取で査定を上げるコツも参考になります。
カスタムの記録や部品の購入時の書類も、まとめて残しておくのがおすすめです。どんな部品を、いつ、どこで取り付けたのかが分かると、買い手にとっての安心材料になりますよ。
スポーツスターSカスタムのよくある質問
Q1. 昔のスポーツスター用のパーツはスポーツスターSに使えますか?
A. 基本的には使えません。スポーツスターSは液冷エンジンを積んだ新しい世代で、フレームもエンジンも空冷のスポーツスターとは別物です。パーツは「RH1250S」や「スポーツスターS用」と書かれたものを選び、年式の適合も確かめてください。
Q2. マフラーを替えたら燃料の調整は必要ですか?
A. マフラーの種類によって変わります。排気の流れが大きく変わるマフラーでは、燃料の量を合わせ直す調整が必要になることがあります。購入前に、調整が必要かどうかと、その作業を頼めるお店があるかを確かめておくと安心です。
Q3. フォワードコントロールが合わないときはどうすればいいですか?
A. ステップを体の下に近い位置へ移すミッドコントロール化を考えてみてください。足で踏ん張りやすくなり、カーブや段差でも体を支えやすくなります。純正と社外のキットがあるので、お店で相談しながら選ぶといいですよ。
Q4. カスタムしたスポーツスターSでも車検に通りますか?
A. 基準に合った部品で、正しく取り付けられていれば通ります。マフラーは性能等確認済表示の付いた製品を選び、ハンドルの寸法やウインカー、ナンバーの位置なども基準に合っているかを確かめましょう。
Q5. カスタムは何から始めるのがおすすめですか?
A. ステップ、ハンドル、シートといった、乗る姿勢にかかわる部分から始めるのがおすすめです。体に合う姿勢が決まると、その後の見た目のカスタムも方向性を決めやすくなります。
ハーレーのスポーツスターSカスタムのまとめ
スポーツスターSは、手を入れるほど自分らしさが出てくるバイクです。最後に、この記事のポイントを振り返っておきましょう。
- スポーツスターSは液冷の新しい世代で、昔のスポーツスター用パーツは使えない
- 定番はミッドコントロール化、マフラー、シートとハンドル、ホイール、外装と灯火類
- マフラーは燃料の調整の有無と、熱への対策まで確かめる
- 新しい年式なので、マフラーは性能等確認済表示の付いた製品を選ぶ
- 費用は部品代だけでなく、工賃と調整の費用まで含めて比べる
- 姿勢にかかわる部分から手を入れると、後悔が少ない
- 外した純正部品とカスタムの記録は、手放すときのために残しておく
カスタムに正解はありません。あなたがどんな走りを楽しみたいのかを思い浮かべながら、一つずつ形にしていくのがいちばんの楽しみ方です。焦らず、自分だけのスポーツスターSを育てていってくださいね。

